【皮膚科医監修】汗の新常識 「汗あれ」と正しく付き合う方法

2022.08.09

 梅雨から夏は、汗あれ予防が重要!

「最近、外に出る機会が増えたせいか、汗による肌トラブル、汗あれで来院される患者さんが増えています」と、よしき皮膚科クリニック銀座 院長の吉木伸子先生は話します。

今年は梅雨入り前から雨が多い一方、晴れれば猛暑日という気温の変化が大きいことから、汗対策が整わず汗あれが深刻化すると考えられます。

「ユースキン あせもクリーム」「ユースキン 薬用あせもジェル」等、汗による肌トラブル対策製品を製造販売するユースキン製薬株式会社は、汗による肌荒れ「汗あれ」に対して、ドラッグストアの店頭や自社ホームページで注意を呼びかけています。

今年の夏もマスク着用は続行され「マスク汗あれ」も、同時に起こる可能性が高いと考えられます。そこで、「汗あれ」と同時に「マスク汗あれ」を防ぐ方法を、吉木先生に伺いました。

あれの症状例



 じわっとかく汗は天然の美容液 一方でダラダラ汗はトラブルのもと

「汗は臭う、恥ずかしいなどマイナスのイメージがありますが、実は汗の成分には、乳酸や尿素など天然保湿因子が含まれ、天然の美容液ともいわれています。

しかし、じわっとかく程度の汗なら、天然の美容液になりますが、汗をダラダラかきすぎて、さらに、あとのケアをきちんとしないと肌トラブルの元になりますから注意が必要です。特に気温差が激しい今年は汗との正しい付き合い方が重要です。」
と吉木先生(以下同)。

汗は付き合い方によって美容液にもなるし、トラブルのもとにもなることから、正しい汗の知識を得ておくことが皮膚の健康につながります。

「汗のトラブルというとあせもを想像しますが、あせもと汗あれは違います。あせもは子どもに多く、汗を出す管が詰まった状態になりブツブツが出る症状で、かゆみはほとんどありません。大人に多くかゆみを伴うのは、汗あれです。」
よしき皮膚科クリニック銀座 院長 吉木伸子先生よしき皮膚科クリニック銀座
院長 吉木伸子先生



 汗あれは 塩分など汗の成分によってかゆみなどの炎症を起こす

汗あれ
汗あれ
汗をかいた後、汗に含まれる塩分などの成分が刺激になり肌があれ、チクチク・ピリピリと感じるもの。

汗疹
あせも
運動などで大量の汗をかいた際に、汗を排出する管が詰まったもの。


「汗あれは、汗の成分が肌に刺激を与えることで起こります。乾燥や間違ったスキンケアによって皮膚のバリア機能が落ちているところに、汗をかくと、自分の汗が刺激になってかゆみ、痛み、赤みを生じます。

皮膚のバリア機能が落ちやすい部分は、襟元や下着があたる場所など衣類がこすれる場所、汗をかきやすい場所(首、髪の生え際、ひじの内側、膝の内側、お腹のベルト周り、背中、太ももの後ろ)です。

また、今年の春~初夏にかけては、前日との気温差や1日の中での気温差が激しく、急にかいた汗が刺激になりやすい季節といえます。気温差が激しい梅雨の時期から、汗あれには注意が必要です。」


<「汗あれ」危険度チェック表>
□ 他の人より汗をかきやすい
□ 敏感肌だと思う
□ 日中は外回りが多い
□ 激しいスポーツをする
□ 冬でもよく汗をかく
□ 暑いところで作業する
□ サウナ等、汗をわざと出すようなことを頻繁にしている
□ 肌がかぶれることがよくある
□ 汗をかいてもそのままにしてしまう



 マスクの中はうるおっているのではなくムレている! 「マスク汗あれ」にも注意

マスクの着用によっても、汗あれが起こりやすくなっています。間違いやすいのはムレと肌のうるおい。マスクの中は湿気が多いので保湿されていると思いがちですが、肌がうるおっているということではありません。

「マスクの着脱でこすれるところや、マスクで覆われた部分にも、汗あれが起こりやすくなります。

マスクをすることで、皮膚の角質層はふやけた状態になっています。マスクを外したとき、角質層の水分が蒸発して皮膚が乾燥し、皮膚のバリア機能の低下につながり、そこにマスクの繊維や汗の成分が刺激になり、マスク肌あれが起こります。

マスク汗あれはケアを行わないと、ますます助長され、マスク汗あれスパイラルに陥ります。」


 対策1:汗をかいたらやらわかい布でふく。汗の放置はトラブルのもと
汗をやわらかいハンカチでこまめに拭く

汗あれは、きちんと対策を行えば予防や改善が可能です。まずは、汗をかいたときの対処法が大切です。

「汗をかいたまま放置しておくと、水分が蒸発し濃度が濃くなった成分が残ります。塩分やアンモニアといった成分が凝縮され、皮膚に刺激を与えます。

汗をかいたら、こまめに拭き取りましょう。その時、ガーゼやハンカチなど吸水性がよくやわらかい素材を使い、軽く押さえるようにして汗を吸い込みます。硬いタオルなどでゴシゴシこすると、皮膚のバリア機能が失われ、汗あれが起こりやすくなります。」


 対策2:皮膚は清潔に保ち、体や顔は泡でやさしく洗う
やさしくなでるように泡であらう ゴシゴシ洗いは厳禁

夏は汗をかきやすいことから、冬よりお風呂やシャワーの回数が増えるかもしれません。清潔に保つことは重要ですが、体や顔の洗い方に注意してください。

「体や顔を洗うときに、その刺激で皮膚のバリア機能が低下させることがあります。顔も体も、やさしく洗うことが大切で、石けんを泡立て手でなでるように泡で洗います。ナイロンタオルなどでゴシゴシ洗うのは厳禁です。汗は水溶性でお湯だけでも落ちますので、体全体を毎日石鹸で洗う必要はありません。頭皮、顔、体の中心部は皮脂腺が多いので石けんを使いますが、毎日でなくてかまいません。」

顔には皮脂腺があり、女性はメイクをすることから石けんや洗顔料を使うことをオススメしますが、洗い方に注意が必要です。

「顔は洗顔料を使い、2度洗いを行います。最初は少なめの洗顔料で顔全体を洗い、2度目はテカリが気になるところだけ洗います。顔も体同様、洗顔料を十分に泡立て、泡立てるようにして洗いましょう。ただし、洗い過ぎには気をつけましょう。」
                                                                                                                   

 対策3:夏でも洗ったら必ず保湿! 保湿を怠ると皮膚のバリア機能が低下
洗ったら必ず保湿剤を使用し肌を保湿

「汗あれ対策で見落としやすいのが保湿です。汗あれの予防には、夏でも入浴や洗顔後に、必ず保湿をしましょう。夏は湿度が高いことから保湿を怠りがちになりますが、汗あれ対策で最も重要視したいのは保湿です。

保湿剤は、ベタつかずさらっとした使い心地のジェルタイプやローションタイプがおすすめです。

これらの対策を行っても改善せず、かゆみや痛みがひどい場合や続く場合は、皮膚科を受診してください」