ロープは切れない!?救助袋の強度は!?体重三桁越えモデルが避難器具を大調査!【ミケぽちゃの壁】

災害が起きたらホントに逃げられる!?
最重量モデル136kgチャグが大調査!

ミケぽちゃの壁 【避難器具編】
※掲載されている情報は2019年4月時点のものになります。

日本では共同住宅や人が集まる施設に設置義務がある避難器具。どの程度の体重・体型まで耐えられるのか!?

「高所恐怖症ですけど……」


チャグ 身長164cm 体重135kg
B133 W124 H136


 ある日、ふとラ・ファーファスタッフの目に留まった“避難用救助袋”と記された金属製の箱。これはどのように使うのか? 使用時に体重制限はあるのか? チャグも「確かに……。マンションのベランダにある避難ハッチとか、私でも使えるの? っていつも気になっていたんですよね」と。ミケぽちゃに限らず、避難器具の使い方を把握している人は多くないはず。これは土壇場でまごついている間に、命を落としかねない大問題だ! 社会の防災意識が高まる昨今、検証してみる価値がある。
 今回訪れたのは、創業91年の避難器具メーカー「オリロー株式会社」。消防法で設置が義務付けられている、避難用のハッチやハシゴ、救助袋などの製造を手がけている。赤い「ORIRO」のロゴを目にしたことがある人も多いことだろう。
 東京本社をはじめ、全国7ヵ所の事業所は展示場を兼ねており、事前予約にて見学・体験を受け付けている。“ミケぽちゃの壁”の企画趣旨を伝えると、「オリローの威信をかけて全面協力する」との返事をもらうことができた! 当日は絶好の避難訓練日和。本社の屋上と別棟に設置された4つの器具を体験させてもらった。
 最初にトライしたのは、2タイプの“救助袋”。これは布でできた筒状の滑り台のようなもので、平時は箱に納めて屋上やビルの高層階のバルコニーなどに固定されている。まずは、斜めに滑り降りる“斜降式救助袋”からいってみよう。

斜降式救助袋


地上4階にあたる屋上から地面に向けて45度に張られた救助袋を横目に、チャグは尻込み。オリローの担当者が「体重的には全く問題なし」、「外の景色が見えないので、恐怖感は少ないですよ」と、背中を押してくれる。特殊加工の帆布は破れる心配もない。何にせよ、入り口部分を体が通るかどうかが第一関門となる。60 cm×60 cmの金属枠の入り口は、円周157cmの球体が通過できる計算だ。

斜めに滑り降りる救助袋にチャレンジ
恐る恐るステップを上り、片足ずつ袋の中に。


入口部分にスッポリ!

スッポリと枠に体が収まったら、安全ベルトを両手で掴み、お尻を前へずらしていざ約9m降下する旅へ! 


ベルトを離してGO!!

地上ではオリローのスタッフが出口部分に取り付けられた取手を握り、スタンバイ。数秒かけて、ゆっくりと滑り降りていく。袋を通過し着地したチャグは、まだまだ余裕の表情。

秒速7m以下で無事に着地♪

 お次は別タイプの“垂直式救助袋”も試してみる。垂直とはいっても、ストーンと落下する訳ではないのでご安心を。内部にらせん状に縫い付けられたスロープを、秒速4m以下で回転しながら滑り降りていく。ただ、エントランスから袋にかけてストロークがあり、仰向けに横たわった状態で前進しなくてはならない。

垂直式救助袋はドキドキ感UP
ビビりながら徐々に体をねじ込み、コーナー部分で若干えび反り体勢になったら、ゆっくりと滑降スタート! 


内部はらせん状


ちょっぴり目が回る〜
斜降式よりもさらに緩やかで一定のスピードで、出口に到着した。

 そして、今回最大のヤマ場である “緩降機”に挑戦する時がやってきた。

緩降機

こちらは、井戸のつるべ状になったワイヤー入りロープで体を吊り、最高50mの高さから地上まで脱出する装置だ。スピードを一定に保つ“調速機”が命を守る心臓部となる。国による厳しい基準をクリアし、オリローの製品が全国シェアの約6割を占めるという自信作。耐荷重は136kgとギリギリだが、クリアしていることには違いない。ただ、幅およそ5cmのベルト状着用具のみで体を支え、1本のロープで屋上からぶら下がるのは誰でも怖いもの。

着用具のサイズは余裕

社員による実演を眺めるチャグの手は震え始めた……。しかし、周囲の「無理だったら中止しよう」との声に、意を決したチャグ。屋上のヘリに腰掛け、両手でむんずとロープを握りしめると、数分後にはその体を宙へと投じた! 

地上4Fから身を投げる

手はすぐさまロープから離し、前へならえの姿勢に。

ロープに吊られて屋上から脱出!!


降下中は壁に手を添えて
7、8秒かけてゆっくりと降りていく。


チャグが無事に地上へ到達するのを見届けると、見守るオリローの社員達からは、自然と拍手が沸き起こった。

 最後は最もよく目にする“折りたたみ式スライドハシゴ”付きの“避難ハッチ”体験で締めくくろう。

折りたたみ式スライドハシゴ付きの“避難ハッチ


避難ハッチもスルーOK♪
こちらも開口部のサイズは60 cm×60 cmで、難なくスルー。


ハシゴだってこの通り
スライド式に下へ伸びるハシゴの耐荷重は195kgと安全圏内で、サクッと階下に降りることができた。これにて、ひと通りの体当たり検証が完了!

 取材後、チャグにこんな質問をしてみた。「もしこのビル内で火災から逃げ遅れたらどうする?」答えはこう。「もちろん、先陣を切って避難器具で逃げます! 私でも無事に使えることが分かって、安心しました」。何重もの安全テストと、定期点検により、利用者の命を守るオリローの実力も証明することができた。

オリロー株式会社 東京本社

東京都文京区白山4-25-6
【TEL】 03-3814-7744
【休】土曜・日曜・祝日
【営業時間】8:30〜17:30(見学・体験は10:00〜)事前申し込みが必要
https://www.oriro.co.jp

『ラ・ファーファ』2019年7月号掲載
※画像をクリックすると、ズームしてご覧いただけます。
 
ミケぽちゃの壁
第1回■遊園地 編
第2回■マリンスポーツ 編
第3回■スーパー銭湯 編
第4回■屋内スポーツ 編
第5回■スキーウエア 編
第6回■ファンラン 編
第7回■アウトドア 編
第8回■ゴーカート 編
第9回■空中ヨガ 編
第10回■ボルダリング 編
第11回■アイススケート 編
第12回■フィールドアスレチック 編
第13回■ウェディング 編
第14回■サーフフィット編
第15回■東京ジョイポリス編
第16回■スラックライン編
第17回■ポールダンス編
第18回■人間ドック編
第19回■スケートボード編
第20回■富士急ハイランド編
第21回■花魁体験編

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