生理前に暴走する「スイーツ欲」の正体は? PMS過食との上手な付き合い方

2022.09.04

「生理前のスイーツ欲がコントロールできず、つい食べ過ぎてしまう」
「わかってはいるものの、PMSによる過食がなかなかやめられない」
そんなお悩みをお持ちではありませんか?

生理前の過食は「PMS(月経前症候群)」のひとつです。PMSの症状自体は女性の50〜80%に起こり、とくに20〜40代の女性に多いといわれています。

ずっと綺麗でありたいと願う女性にとって、生理前の食べ過ぎは今すぐ改善したい問題ですよね。そこで今回は、生理前に暴走する「スイーツ欲」の原因と予防法、おすすめの漢方薬をご紹介します。



 1.生理前に甘いものばかり欲しくなるのはなぜ?

生理前に食欲が増して、ついつい食べてしまう「PMS過食」。このとき欲する味には個人差がありますが、「とくに甘いものばかり欲しくなって、たくさんお菓子を食べてしまった」という経験をお持ちの人は少なくないのではないでしょうか。

以下では、生理前に甘い物が欲しくなるメカニズムや原因を解説します。


 1-1.PMSで甘いものが欲しくなるメカニズム

生理前の過食の原因は、女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)の変動による血糖値の変化にあります。

女性らしさを保つホルモン「エストロゲン」は、排卵(月経の約14日前)の後にガクンと減少します。それによって、脳内で働く神経伝達物質の作用が低下し、感情のコントロールが難しくなるので、無性にイライラしたり食欲が抑えられなくなったりしてしまうのです。

また、妊娠を助けるホルモン「プロゲステロン」は、排卵後から月経にかけて多く分泌されます。プロゲステロンは基礎体温を上げ、水分を溜め込む働きをもつため、ほてりやむくみ、便秘などが起こります。これらの身体症状がストレスになり、イライラや過食につながると考えられています。

さらに、生理前は血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効果が弱まるため、血糖値が上昇しやすい状態になります。そうすると、血糖値を下げようと普段以上にインスリンが分泌され、結果、低血糖状態になってしまうのです。

このように、生理前は低血糖状態による反動で、無性に甘いものが食べたくなるといわれています。

上記以外にも、生理前に変動するホルモンはあるため、ホルモンバランスが乱れ過ぎないよう、上手にPMS過食と付き合っていくことが大切です。


 1-2.スイーツ欲タイプの人の特徴

PMSの過食は心とからだのSOSとも考えられます。とくに、甘いスイーツを生理前に欲するタイプには、以下の特徴があげられます。

〈スイーツ欲タイプの人の特徴〉
・普段から我慢しがち
・人に気を遣う
・ストレスを溜め込みやすい
・間食しがち
・ファスティングをしている
・糖質制限をしている

上記のように、ストレスを感じやすい人や、ダイエットをしている人は、生理前に甘いものを欲しくなる傾向があると考えられます。

また、ファスティングなどの食事制限により、月経に必要なエネルギーや血液が不足していると、からだがSOSを出します。生理前になると、脳からしっかり食べるように指令が出され、食欲がさらに抑えられない状態になってしまうのです。

日頃の生活習慣を見直して、過食をしてしまう原因を理解することが大切ですね。




 2.PMS期のスイーツ欲との付き合い方

生理前の過食には「抑える・改善する」方法ではなく「うまく付き合っていく」ための方法を見つけることがおすすめです。以下では、PMS過食と付き合うための方法を3つご紹介します。


 2-1.食事でストレス緩和

PMSのイライラによる過食予防には「大豆」がおすすめです。

イライラは、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの低下により引き起こされます。エストロゲンに似た作用をもつ大豆を取り入れることで、PMSのイライラを抑制できるでしょう。

また、大豆製品を積極的に摂ることで、イライラの緩和以外にも、抗酸化作用による若返りや乳がん防止などの効果が期待できます。

漢方医学では、イライラは気が滞ることで引き起こされると考えられています。気を巡らせる食べ物には、セロリ、シソ、ミカン、大根、キクラゲ、そばなどがあげられます。

どうしても甘いものが食べたいときは、クリーム系ではなく和菓子をおやつの時間(15時頃)に食べるといいでしょう。その代わり、昼食や夕食の炭水化物を控えると、栄養バランスの偏りを予防できます。


 2-2.良質な睡眠をとる

1日6〜8時間の睡眠を確保しましょう。質のいい睡眠は、自律神経やホルモンバランスを改善し、免疫機能を正常に整えます。

生理前でも心身のバランスが安定し、ストレスに負けず、食欲を抑える精神を保つことができるでしょう。

良質な睡眠をとるためには、入浴がおすすめです。以下にポイントを示します。

<良質な睡眠をとるためのポイント>

・寝る1~2時間前に入浴する
寝る前の入浴で一時的に体温を上げることで、睡眠の質が高まります。

・38~40度のぬるま湯につかる
からだが温まることでリラックスしてストレスが解消され、良質な睡眠につながります。

入浴が難しい人は、目覚めの朝に太陽光を浴びるといいでしょう。睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌が規則正しくなり、体内時計が調節されます。起床直後の太陽光が最も効果的なので、起きたらまずカーテンを開けて、気持ちのよい朝を迎えましょう。

 2-3.食事以外のストレス発散法を見つける

自分に合ったストレス発散法を見つけることで、PMS過食を緩和できるでしょう。

ヨガやランニングなどの運動や、カラオケ、入浴、コーヒーやハーブティーでリラックスするなど、さまざまな方法があげられます。

食事以外のストレス発散法を見つけるのが難しい人は、食べる時間帯とよく噛むことを意識してみてください。満腹中枢が刺激されて過食予防になるでしょう。




 3.PMS過食は、漢方で内側からコントロールするのもおすすめ

「生理前にイライラしやすく、どうしても食べてしまう......」
そんなお悩みをお持ちの方におすすめなのが、漢方薬です。

漢方薬は、根本的な体質改善を目指すことができ、生理前のPMS過食へアプローチすることを得意としています。

また、漢方医学で使われている漢方薬は、さまざまな症状への効果が認められており、婦人科では自然由来の治療薬として活用されています。一般的には西洋薬よりも副作用が少ないといわれており、体質に合っていれば高い効果を得られるでしょう。

PMS過食に対しては、イライラや落ち込みなどを落ち着かせて過食を抑えたり、過食の元になる女性ホルモンの乱れを改善したりする漢方や、PMSの腰の痛みや腹痛などを抑える生薬を含む漢方薬から選びます。

また、血流が改善されると体中に酸素と栄養が運ばれるので、美肌効果も期待できるでしょう。さらに、便通の改善や利尿作用によって脂肪や老廃物が排出されるため、心とからだを整えられます。

漢方薬が得意なのは、もともとからだに備わっている「免疫力や治癒力」を高めることです。体質を変え、根本改善をすることにより、今よりも健康な状態を目指せるのです。毎日続けて服用することで、長年、悩み続けてきた症状がすっかり消えてしまった! という日がやってくるはずですよ。

また、「健康的な食事や運動を毎日続けるのは大変……」という方でも、漢方薬を使った体質改善なら、自分の症状や体質に合うものを毎日飲むだけなので、気軽に続けることができます。

日々の生活のなかで、お悩みの症状を改善するために漢方医学を取り入れてみてはいかがでしょうか。


<生理前の過食抑制におすすめの漢方薬>

・抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
やや胃腸が弱い、怒りやすい、イライラしやすい方に。自律神経の乱れを整えるほか、イライラや不眠、女性ホルモンの変動に伴う心やからだの不調に使われます。胃腸の弱い方にも用いられる漢方薬です。

・加味逍遙散(かみしょうようさん)
のぼせ感があり、疲れやすく、肩がこり、イライラを生じやすい、便秘傾向のある方に。血液の生成や巡りを整えるほか、自律神経の乱れやホルモンバランスを整えます。生理中のメンタル不調による不眠や生理痛に用いられます。

・大柴胡湯(だいさいことう)
ストレスで食欲が増してしまう、便通が悪くがっちりした体型の方、疲れやすく、足腰が冷えやすい方に。気の巡りを促してストレスを低減させ、便通も改善します。からだの余分な熱を取り除き、肝の働きをよくして、脂質代謝を改善します。高血圧や肥満に伴う肩こり・頭痛にも使用できます。

漢方薬は、自分の体質に合っていなければ、効果が見込めないだけでなく副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるためにも、購入時にはできる限り漢方に詳しい医師、薬剤師等にご相談ください。

「お手頃価格で不調を改善したい」という方には、スマホで気軽に薬剤師に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスもおすすめです。AIと漢方のプロが効く漢方を見極めて、お手頃価格で自宅に郵送してくれる「オンライン個別相談」が話題です。

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(※1)





 4.PMS対策!毎月くる生理とうまく付き合おう

生理前はホルモンバランスの変動で、過食のほか、むくみやイライラなどで心身に不調がでやすい時期です。

生活習慣を見直してセルフケアを行うことで、生理前の不調を軽くできるでしょう。女性は毎月くる生理現象ですので、自分自身をコントロールできるようにうまく付き合っていきましょう。

快適な日々を過ごすためにも、今回ご紹介したセルフケアや漢方薬を参考にしてみてくださいね。


【参考】
(※1)森雄材著『図説 漢方処方の構成と適応 第2版』(神戸中医学研究会)



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<この記事を書いた人>

あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師 杉岡 弥幸
薬剤師。北里大学で生薬学を学び、卒業後は大手漢方専門店にて漢方薬剤師として勤務。現在は自身のダイエット経験や健康に関する知識を活かして、漢方や養生による体質改善方法をWeb等で発信。
漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選びお手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」でも情報発信をしている。
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