水なしで飲める薬は、吐き気があるときや水が用意できない場合にはありがたいですよね。
しかし、薬は水といっしょにという固定観念があると、なかなか手を出しにくいと感じる人もいるのではないでしょうか。
水なしで飲める薬である「口腔内崩壊錠」の疑問について、あんしん漢方の円山 真由佳さんにうかがいました。
1. 口腔内崩壊錠の疑問について教えてください
口腔内崩壊錠とは、唾液あるいは少量の水分でラムネのように口の中で溶ける錠剤です。OD錠とも呼ばれています。
水なしで飲めるため、普通の錠剤とは異なるさまざまなメリットがあります。（※1）
以下では、口腔内崩壊錠のよくある疑問についてお答えします。
1-1.水といっしょに飲んでも大丈夫？口腔内崩壊錠は、通常の錠剤のように水といっしょに飲んでも大丈夫です。
口腔内崩壊錠は口の中ですぐに溶けますが、即効性はありません。有効成分が作用するまでの時間は一般的な錠剤と変わらないため、水なしでも水といっしょでもどちらでも大丈夫なのです。
口の中やのどに薬が残ってるような感覚があれば、気にせず水を飲んで薬をしっかり飲みこみましょう。
ただし、口腔内崩壊錠のなかには、水といっしょに飲めない薬もあります。薬の服用前には、医師や薬剤師の説明をしっかりと聞きましょう。
1-2.噛むのはダメ？口腔内崩壊錠を噛むのは、絶対にダメというわけではありませんが、あまり推奨されていません。
なぜなら、口腔内崩壊錠のなかには、噛み砕くと刺激になったり効果が変わったりする薬があるからです。
また、口腔内崩壊錠は口の粘膜からは吸収されないため、噛み砕いて口の中に残った場合、薬の効果が十分に得られない可能性もあります。
1-3.寝転がって飲むとダメってほんと？口腔内崩壊錠を、寝転がって飲むのは基本的にダメです。
寝たままの状態で飲むと、薬をしっかり飲みこめずに効果が十分に得られない、食道に引っかかり炎症をおこす、気管に入るなどの恐れがあります。
口腔内崩壊錠を飲むときは、上体を起こした姿勢で飲みましょう。
2. 口腔内崩壊錠のメリット・デメリット
次に、口腔内崩壊錠のメリット・デメリットを解説します。
2-1.メリット口腔内崩壊錠の主なメリットには、「いつでも飲める」「錠剤が苦手な人も飲みやすい」「水を飲めないときにも服用できる」などがあります。
・いつでも飲める
口腔内崩壊錠は水がいらないため、時間と場所を選ばず服用できます。
外出先で手元に水がないとき、乗り物酔いや片頭痛ですぐに薬を飲みたい場合などに活用できるでしょう。
・錠剤が苦手な人も飲みやすい
口腔内崩壊錠は口の中で溶けるため、まだ錠剤が飲めない子どもや飲食物を飲みこむ力が低下し誤嚥（ごえん）の危険性のある高齢者などの錠剤が苦手な人も使いやすい薬です。
・水を飲めないときにも服用できる
口腔内崩壊錠は、病気によって水分の摂取を制限されている人や水を飲むと吐いてしまう状態の人も服用しやすい薬です。
また、寝る前にはあまり水分を摂りたくないという人が睡眠薬を服用する場合にも、口腔内崩壊錠は向いています。
2-2.デメリット口腔内崩壊錠のデメリットには、「味や感触が特徴的」「取り扱いに注意が必要」などが挙げられます。
・味や感触が特徴的
口の中で溶ける口腔内崩壊錠は、普通の錠剤より味や感触が特徴的です。
味がついていたりなめらかに溶けたりなど、飲みやすいように工夫された口腔内崩壊錠も開発されていますが、人によっては「まずくて飲みにくい」「溶けたときのザラザラ感が苦手」と感じる場合があります。
・取り扱いに注意が必要
口腔内崩壊錠は、少量の水分で溶けるように作られているため、吸湿しやすく壊れやすいという特徴があります。
口腔内崩壊錠は、包装から取り出したらすぐに服用しなければいけません。
また、口腔内崩壊錠は、一包化できない場合も。水を必要とするほかの薬も服用している人は、口腔内崩壊錠のメリットを受けにくく、さらに、管理の手間が増える可能性があります。（※2）
