能町みね子連載「買わりばえのしない私」vol.16 本誌発売と同日公開!!

買わりばえのしない私 vol.16
今回の能町さんのお買い物日記もまた相撲Tシャツのことを書いていますが、前回の相撲Tの話が今回の相撲Tの話の前フリでした。こんなことができるのも、1冊に2回分の連載を掲載しているla farfaだからできるワザ^^; (イラストは能町さんが明瀬山を「パンの山」と呼んでるところにインスピレーションを受けたものだそうです、かわいい!)。

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2024年6月2日
明瀬山Tシャツを買った
 前回、千代の富士のTシャツを買ったという話をしたばかりだったのに、今回は明瀬山(もちろん力士の名です)のTシャツを買った話をする。
 いくら私が大相撲好きだと言ったって、力士のTシャツを買った話を2回連続でするなんてやりすぎだ。
 というか、相撲ファンでも、ふつうは頻繁に力士のTシャツなんか買わない。分かってるさそんなことは。それでもこれを取り上げたい理由があるわけ! 千代の富士のTシャツを買ったのとはまただいぶ別件なわけ、これは。
 そして、千代の富士ならまだしも、明瀬山の一般的知名度がめっちゃ低いことは私だって自覚してる。明瀬山という力士は、失礼ながら、相撲界の中でも決して人気の高い力士ではなかったよ。
 でも、明瀬山は、要は私が勝手に長いこと応援していた力士なのだよ。だから特別なのだよ。
 応援し始めた当初(15年前!)はシンプルにいちファンとして遠くから見ていただけだったのだが、その後私はお仕事でも大相撲に関わるようになってしまったため、ついには明瀬山ご本人とも交流が生まれてしまった。明瀬山は15年半の力士人生を終え、去年引退。そして今年、断髪式(髷を断髪し、これまでの力士生活をいたわったり親方になることを祝ったりするイベント)をするにあたり、私は販売するグッズのイラストを描いてほしいと頼まれてしまったのである。こんなうれしい、ありがたいことはないよ。
 明瀬山関は愛されるキャラクターだったため、かわいいイラストと、かっこいいイラスト、私は心を込めて両方描いた。そのイラストはステッカー、タンブラー、Tシャツなどになった。
 正直な話、私は描いた本人なので、自分のぶんのグッズはもらえるかな……と思っていた。でも、断髪式の日にしか売られないようだし、その日に来られない相撲ファンの知り合いも多かったので、自ら多めに買おうとも思っていた。
 当日。会場の国技館は予想以上の大盛況で、スタッフが足りなさそう。人さばきがうまくいかず、グッズ売り場は大混雑、大変な行列ができていた。そんなことになっているとは気づかず、私はかなり遅れて素直に列に並んだ。延々待ち続けて私の番が回ってきたとき、そこにはもうXLのTシャツしかなかった。ついこのあいだSを買って失敗したけど、男女共通サイズでXLはさすがにデカいッスわ……。
 でも、買うよ。「ま、相撲ファンの知り合いにも欲しい人が何人かいるだろう」ってことで、私はかなりビッグサイズの、自分が描いたイラストの入ったTシャツを3枚も買ってしまった。
 このTシャツ、サイズの問題もあって、実は千代の富士Tシャツ以上に着ていくところがないのだった。


2024年6月16日
イカリのアイスティーを買った
 仕事で大阪に行った。
 私は最近スーパーが好きである。なかでも、その地方にしかないものが。
 ネットの聞きかじりの知識で、関西圏ではラ・ムーというスーパーが最も激安で、イカリというスーパーが最も高級、と聞いていた。仕事の翌日、どっちも行ってみようと思った。
 ラ・ムーでは、しっかりその場で焼いている100円のたこ焼きを買った。6つ入っている。タコもちゃんと入っている。6つで100円、採算は一体どうなってるんだ。ちょっと怖い。
 イカリは、プライベートブランドが多いのがとてもよい。高級スーパーのプライベートブランドってわくわくする。
 なかでもグッときたのはアイスティーだね。ペットボトルではなく、洗剤の詰め替えパックのようなものに入っている。地球環境、考えられてる(んだよね?)。味もちょっと濃いめでおいしい。ミルクティーにするのにも最適。これは大阪みやげとして今後広めていいと思う。かさばるけど。人に配りづらいけど。




Illustrator/Takayuki Kudo


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