かわりばえのする私 vol.24
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コロナ時代になって良かったことなんてほとんどないんだけど(これは大前提。コロナ許せない、マジむかつく!)、私が確実にコロナ時代になったことで良かったと思う要素が一つあります。
それは、白ではないマスクをする人が増えた、ということです。
思い出してください、コロナ以前のことを。
コロナ以前だって日本人は昔からマスクが大好きでした。ちょうどコロナ期になる前には「伊達マスク」なんて言葉までできていて、花粉症でも風邪でもないのにマスクしてる高校生や大学生がいたもんです。
でも、そのときでさえ……いや、伊達マスクだからこそなのか、マスクの色は9割方、白でした。黒もたまーにいたけど、けっこう奇異な感じがしました。ドラッグストアにPITTAというマスクが並びはじめたときは黒をはじめいろんな色があって画期的だなーと思ったけど、まず当初はあれ自体手にする人が少なかったし、まして色つきのものなんてつける人はいませんでした(余談だけど、PITTAはコロナ後に普及したように感じちゃいますが、コロナ以前から売ってましたよね。コロナ期でむしろ「ウレタンマスク」と呼ばれて風当たりが強くなっちゃってます)。
風邪や花粉症予防のために日常でこんなにも多くの人がマスクをして外出するのは日本だけだと聞いたことがあります。実際、アメリカやヨーロッパに旅行したとき、マスクをして外を歩いてる人なんて私は見たことがありません。ただ、アジアの一部では日本ほどではないにしろ、たまに見ました。タイやラオスに旅行に行ったときは、バイクに乗っている人がつけているのを見ました。空気が悪いのでたぶん排気ガスを吸わないためにつけてたんだと思う。
そして、それがけっこうな頻度でビビッドな色なんですよね。オレンジとか、エメラルドグリーンとか、パキッとした色。
私は当時からそれがほしかったのだ。
ラオスを旅行したときわざわざ薬局に入って探したほどです。しかし英語もいまいち通じないので伝わらず、歯噛みしたもんでした。カラフルなマスクを探している観光客なんか分かってもらえなくて当然だ。
それがさあ、今や日本でも、黒どころか柄物をつけてる人まで当たり前になったじゃないですか。今後コロナがある程度終息したとしても、日本人は絶対マスク装着者が海外よりも圧倒的に多いままだと思うんです。そして、色つき・柄物度も多いままだと思うんです。私はそれがうれしい。ほとんどの人が頑固に白一筋だったあの感じが一気に突き破られた、そこだけがコロナの功だと思うの。
さて、そんなわけで、私が好きなマスクの話をします。思うに、私ほど細かくマスクの好みがある人ってあんまりいないと思うのね。初めてしっかり好みを語るので、気合が入っております。
まず、手作り布マスクみたいなものはまず使わない。柄が付いていることも多いし、派手だったりもするけど、まず効果面に疑問があるし、ほっこりハンドメイドな感じが強すぎて私のふだんのテイストに合わない。不織布で柄が付いているものもそんなに好きではない。「女の子はレースが好きでしょ」みたいな感じでレースがついているのもちょっと勘弁……と思っている(つけてる人ごめん。あくまで私の好み)。
私の好きなのは、断然、ビビッドカラー単色の不織布のものなのである。
基本的に通販で買っています。台湾あたりの海外製品の輸入が多いんですが、「マスク カラー」みたいな言葉で検索して、根気強く掘り当てています。「見るからに唯一無二のデザイン」じゃなくていいのである。ただ、結果として絶妙にほかにないような色であるのがいい。
中でも、不織布の生地の繊維のからみ方によるものなのか、微妙に表面に色ムラがあるようなものがあります。その風合いが私は大好きなのです。
もしかしたら、ある特定の工場で作られているものなのかもしれない。今ちょうどそういうものが手元にあるから細かく解説しますが、おもて面にビビッドな色が付いているけど上下には補強のためにもう一枚白くて細い生地が重なっていて、それが白いラインのように見える製品。それが好き。
いや、別にどうでもいいよねこんなこと。でも私はこんなに細かい基準で使い捨てマスクを選んでいるということを主張したいわけ。そこに胸を張りたいわけ。
しかしまあ、なぜ通販で買うかって、日本の薬局には「色つき」と称しながらほとんどパステルカラーのマスクしか売ってないからですよ! 私はそこに怒ってます。せっかくいろんな色をまとえる素地ができあがってきたというのに、みんなみんな無難に逃げる。もっとみんなビビッドカラーでいこうって! 明るく行こうぜってば!
Illustrator/Takayuki Kudo