【薬剤師が解説】「梅ながし」って知ってる?〈便通に効くメカニズム〉

2023.11.18

「梅ながしが便秘にいいってSNSで流れてきたけれど、なぜいいの?」
「本当に梅ながしって効果あるの?」
梅ながしの効果やメカニズムに疑問を持っていませんか?

実は、梅干し自体が便秘解消にいい食材なので、梅ながしの効果は十分に期待できます。

本記事では、梅ながしとは何か、期待できる効果とメカニズムについて解説します。




   1. 梅ながしとは?

梅ながしとは、大根と梅干しを煮たものを食べる食事法のことで、梅干しの栄養素を用いて便秘を解消する民間療法です。
梅干しには長い歴史があり、古くから健康にいいとされてきました。
まずは、そんな梅の起源や歴史、梅ながしの効果について詳しく紹介します。


  1-1.梅干しの起源と歴史
梅はもともと中国の植物で、2000年前から存在している中国最古の薬物学書には、すでに梅の効能が記されていました。

梅の実自体は奈良時代にはすでに日本に伝来しており、生菓子に加工して食されていたようです。

梅干しの前身といえる梅の塩漬けは、平安時代の中期の書物にはじめて登場します。

「梅干しと昆布を入れたお茶で村上天皇の疫病が回復した」という記録もあり、それ以降は元旦に飲む大福茶の起源になったとされています。

その後、梅干しは武士や庶民の食卓にも並ぶようになり、人々とって馴染みのある「日本の食べ物」として今日まで受け継がれてきたのです。


  1-2.梅ながしの効果とは?
梅ながしは、宿便や腸内の老廃物を排出する効果が期待できます。

宿便とは腸内に長く留まっている便のことです。

梅干しには腸内環境を整える栄養素がたくさん含まれており、便秘を解消する効果が期待できます。

梅ながしのやり方はいくつかあり、断食の前後に大根と梅干しを煮汁ごと食べきる方法、断食せずに行う方法などがあります。




   2. 梅ながしのメカニズムを解明

梅干しは歴史が長く、便秘解消にもいいことがわかっています。
しかし、本当に梅ながしで便通を促せるのか疑問に思う方もいるでしょう。

以下では、腸内環境と便通の関係を解説し、梅ながしが腸内環境を整えるメカニズムをお伝えします。


  2-1.腸内環境と便通の関係
腸内環境は便通と深く関わっています。

たとえば、腸内の水分不足により便が硬くなることは、便秘の要因になりえます。また、腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れ悪玉菌の比率が多くなると、腸の動きが低下して排便活動が難しくなってしまいます。

このように、毎日健全でスムーズな排便ができるようにするには、腸内環境を整えることが大切です。


  2-2.梅ながしが腸を整える仕組み
梅ながしが腸を整えるのには、梅干しに含まれる以下の成分が関係しています。

●クエン酸
●カテキン酸
●植物性乳酸菌
●マグネシウム

【クエン酸】
疲労回復作用で知られていますが、排便に欠かせないぜん動運動を活発化させる作用があるため、腸活にも役立ちます。

【カテキン酸】
ポリフェノールの一種で抗酸化作用があることで知られていますが、腸内フローラを整える作用があるとされています。

【植物性乳酸菌】
植物性乳酸菌は、善玉菌の一種でありながら、ほかの善玉菌のエサにもなり、腸内環境を整えるサポートをします。

【マグネシウム】
腸内の水分が足りず硬くなった便に水分を集め、便を柔らかくする作用があります。

また、梅ながしには大根も使われます。大根は以下の成分を含み、腸を整えるのに貢献するため、梅との相乗効果が期待できます。

●豊富な水分
●不溶性・水溶性食物繊維
●ビタミンC:善玉菌のエサ。腸内環境を整えるサポートをする

【豊富な水分】
大根はほとんどが水分といわれるほど、たくさんの水分を含んでいます。便に水分を与えることで便を柔らかくし、スムーズな便通をサポートします。

【不溶性・水溶性食物繊維】
不溶性食物繊維は、便の量が足りず便秘になっている方に向いています。
一方の水溶性食物繊維は便の水分量を増やして柔らかくし、便秘解消を促します。




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