【薬剤師が解説】胃の痛むメカニズムと整え方5選

2024.03.29



朝目が覚めて、真っ先に思い浮かぶ、この胃痛。
朝起きてすぐの痛み、食後のしくしくした痛み、胃の痛みには種類があります。そんな胃痛の種類と対処方法をあんしん漢方の薬剤師である中田早苗さんにうかがいました。





   1. 胃痛のメカニズムとは?


寝起きや食後、空腹時に胃痛が起きるメカニズムを状況別に解説します。

   1-1.寝起きの胃痛
寝起きで胃痛が起きるのは、消化不良やストレスにより胃の機能が落ちていることが考えられます。

たとえば、寝る直前に晩御飯として「とんかつ」や「からあげ」といった油っぽいものをたくさん食べて寝ると、消化不良を起こす可能性が高く、寝起きに胃痛を感じやすくなるのです。
また、食べる時間が遅くなると、起床時間までに食べ物を消化しきれないために胃もたれを起こします。
胃もたれは胃の機能が低下している証拠でもあり、機能低下が続くと胃の不調として胃痛を起こすことがあるのです。

さらに、食べてすぐ寝ると逆流性食道炎を発症するリスクが高くなります。
逆流性食道炎の症状として胃痛があり、食べてすぐ寝る習慣をつけている方はこの病気が原因で胃痛を起こしている可能性もあるでしょう。


   1-2.食後2〜3時間後の胃痛
食後2〜3時間後に胃痛を感じる場合は、急性胃炎を発症している可能性があります。
普段から、暴飲暴食をしたり、お酒を飲み過ぎたりすると急性胃炎を発症しやすくなり、胃痛や胃もたれなどを感じます。

また、別の原因として考えられるのは、アニサキス感染です。
生の魚介類を食べてアニサキスが胃の中に入ると、激しい胃痛を起こします。
生魚を食してから3〜4時間後、長いと数十時間後に症状があらわれることもあります。
以前まではアニサキスが胃の壁に突き刺さることで痛みを感じるとされてきましたが、最近ではアレルギー反応による痛みであることがわかってきました。
よって、アニサキスが絶命していてもアレルギーを持っていると痛みを感じることがあります。


   1-3.空腹時の胃痛
空腹時に胃痛が起きるのは、胃酸が多く分泌されることで胃の粘膜が刺激を受けているからです。
胃酸は強烈な消化液であるため、胃酸過多状態になると粘膜がダメージを受けます。
ダメージを受け続けた結果、やがて胃が炎症し、胃痛が起きるのです。



   2. 胃痛の原因


アニサキス感染や空腹時の胃痛以外で共通していることは、胃の機能低下です。
胃の機能が低下する原因は以下のようなものがあります。

・アルコール類の摂り過ぎ
・暴飲暴食による胃の酷使
・ストレス
・睡眠不足
・喫煙習慣

アルコール類の摂り過ぎは急性胃炎の原因のひとつでもありますが、胃酸の過剰分泌を促したり胃を刺激したりするため胃痛の原因にもなります。

暴飲暴食は消化が大変になるため、胃に負担がかかります。
このような状態が続くと胃が疲れて機能低下につながり、胃痛が起きることがあるのです。

ストレスや睡眠不足は、自律神経の乱れにつながります。自律神経のバランスが乱れると胃酸の過剰分泌や胃粘液の減少を引き起こします。
これにより、胃痛や胃もたれをはじめとする胃腸障害が生じるのです。
もし、長く症状が続く場合は機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群が疑われます。

さらに、喫煙習慣も胃痛を起こす原因となります。
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させる働きがあるため、喫煙すると全身の血行が悪くなることが知られており、胃腸の血管も例外ではありません。
血管が収縮し細くなると血液の流れが悪くなるため胃粘膜の働きが低下して、胃が炎症を起こしやすくなります。




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