【薬剤師が解説】若い人にも増えている?排尿痛の原因と、病院へかかる目安とは?

2024.04.03



なかなか相談しづらくついつい放置してしまいがちな排尿痛。
我慢はできる程度の痛みだけれど、トイレのたびに不安になってしまう、そんなときに行える対策をあんしん漢方の薬剤師である中田 早苗さんにうかがいました。





   1. 排尿痛のメカニズムとは?


排尿痛とは、排尿の際に、尿道や下腹部に生じる痛みのことをいいます。排尿痛を認める最も一般的な病気は急性膀胱炎です。膀胱や尿道に焼けるような痛みを感じるのが特徴です。

また、痛みだけでなく、発熱や血尿、残尿などの症状がみられることもあります。痛む場所ごとに解説します。

・尿道が痛む場合
尿道の粘膜の損傷や、感染による炎症によって痛みが起こります。尿道が痛む場合は尿道炎の疑いがあります。

・下腹部が痛む場合
排尿時の下腹部痛は主に女性に多い症状です。女性は、男性よりも尿道が短いため膀胱炎が起こりやすいといわれており、その原因は冷えや疲労、睡眠不足などです。陰部を洗浄しすぎることで皮脂の欠乏を引き起こし、雑菌が繁殖する場合もあります。



   2. 排尿痛の原因


排尿痛は大きく分けて「排尿の始めに痛む」「排尿が終わるころに痛む」「排尿中ずっと痛む」という3つのパターンがあります。
自覚症状によって、それぞれ原因が異なります。ここでは急性膀胱炎以外の病気についても解説します。

・膀胱炎
一般的に、膀胱炎というと「急性膀胱炎」を指します。急性膀胱炎は、大腸菌などの細菌が尿道に侵入し、膀胱で炎症を起こす病気で、女性に多くみられる症状です。排尿時の痛みや、頻尿、尿の濁り、血尿などがみられ、排尿の終わりごろに痛みをともないます。

また、急性膀胱炎とは異なる膀胱炎もあります。「慢性膀胱炎」は閉経後の中高年の女性に多く、女性ホルモンの低下が関わっている場合も。

「間質性膀胱炎」は「ハンナ型」ともいわれ、膀胱に慢性的な炎症が起こる病気です。中高年の女性を中心に、男性や小児にもみられます。原因は自己免疫疾患といわれていますが、はっきりとした原因は解明されていません。

「出血性膀胱炎」は、ウイルスや放射線治療などが原因で起こり、血尿などの症状をともないます。

・尿管結石
シュウ酸や尿酸が固まり、結石が尿管にとどまる病気です。排尿の終わりごろに痛みを感じます。吐き気をともなうほどの激しい痛みに見舞われる場合もあります。

・腎盂腎炎(じんうじんえん)
腎盂や腎が細菌に感染することで起こる病気で、痛みのほか、血尿、高熱などがあらわれます。排尿終わりや排尿中にずっと痛みを感じます。

・尿道狭窄症
尿道が外傷や炎症などによって狭くなり発症します。内視鏡手術の影響により発症する場合もあります。排尿中にずっと痛みを感じます。

・クラミジア感染症
性感染症の一種で、女性が感染すると男性ほどの症状は出ないといわれますが、排尿痛のほかに、おりものの増加や、不正出血がみられます。

もし異常を感じ、我慢できないような強い痛みがある場合は、すぐに医療機関を受診してください。



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