買わりばえのしない私 vol.03
能町さんがちょいちょい買っているいろんなものの中から、ちょっとあれこれ言いたいものを選んで報告してもらう、そんな楽しいお買い物発表連載第3回！ もう「書くネタがないよ〜」なんて言わせません。さーて今回は何をピックアップしてくれるのでしょうか～！
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2023年2月5日
ECHIREのプティブール・エシレを買った
私は数年前からバレンタインが楽しみで仕方なくなっている。
「そもそもバレンタインとは」みたいなことについては、すみません、どうでもいいです。西洋の歴史についてはごめんなさい。あと、女が男にあげるというしばりとか、いや逆に友チョコがいいんだとか、そういうのもどうでもいいです。私は純粋にチョコレート祭としての2月14日にワクワクしている。
かつて私はOLをやっていた時代があった。すぐ髪の色を抜いて変な色で染め、原色系の服を買ってしまう今から見れば信じられないけど、多少コンサバな服を着て、パンプスも履いて、うまいことOLに擬態できていた（たぶん）。
入社して初めての2月。やっぱりバレンタインってOL的イベントじゃん？ 女性陣で分担して「義理」を社内の人にひととおり買うんでしょ？ なんて思っていたのだが、私がいた会社はきわめてドライで、誰も、誰にも、1つとしてチョコなんかあげないのだった。20年近く前にそんな感じだったなんてわりと先進的だし、面倒な人付き合いがなくて本来ありがたがるべきなのだが、なにせ当時OLというものに擬態できていることがちょっとうれしかった私は、OLコスプレといいますか、OLらしいことをする、というのに変な憧れがあった。なーんだ、そういうのないのか……と少しだけ拍子抜けもしたのだった。
かといって、社内に気になる男性などもちろんいなかったし（もちろんって言うことないだろう別に）、私だけ張り切ってチョコ買ってきました！ っていうのもねえ……何を一人で張り切ってるのか、って少しキモさがあるじゃないですか。そうして、その後も私はバレンタインというお祭についてさほど派手に開催せずに数年を過ごしてきてしまった。
ちなみに王道の「片想いの男の子にあげる」というパターンは私がいちばんやりたくないことです。ベタすぎて小っ恥ずかしい。だからこそ、「会社で『仕方なく』という形であげる」をやりたかったのだ。
要は何がしたいのかって、私は単に、チョコを選びたいのだよ。ふだんまず買わない、ちょっと高価だったり珍しかったりするチョコを、バレンタインという名目の元にたくさん見て、選ぶ。これは喜び。JOY。
そしてその数年後、私はふと革命的に思いついた。「自分に買えばいいじゃん」と。
そして近所の古いケーキ屋さんに走った。そのお店は老舗ゆえに、ケーキはそんなに……なんだけど、チョコがおいしいんだと聞いていた。まさにバレンタインにうってつけ。これが私の、私による、私のためのバレンタイン第1回であった。いやぁおいしかったね～。
その後はデパートのバレンタイン催事に必ずでかけるようになっちゃいました。今年も池袋西武に行こうと勇んで突入したら、うっかり予定の都合で日曜日に行っちゃったもんでもうラッシュ並みの人混みで、全部をくまなく見ることなんてできず、はじっこのブースで売ってた高級チョコのソフトクリームを食べただけで退散してしまった。そのあと、別の階の売り場で、バレンタインじゃなくても売ってるエシレバターのプティブール・エシレというサブレ（缶入り。それなりにお高い）を自分のために買いまして、これで今年の義務も果たしまして満足です。私はそういえばチョコよりサブレやクッキーが好きだった。
2022年10月19日
タコ帽子を買った
タコ帽子。私はこれのことをなぜか自然とタコ帽子と呼んでいるのだが、タコ帽子で画像検索してみると、海の動物のタコそのものをかたどったようなヘンテコな帽子ばかり出てくる。違う、私が思うタコ帽子はそんなんじゃない。あのー、世間的には何だっけ。あれだ、目出し帽だ。
もっと言えば、最近は目出し帽とも言わないらしい。オシャレな名前がついたのだ。バラクラバ、だ。英語圏ではそう言われるらしい。
なんで私はタコ帽子と呼んでいるんだっけ？ と思ってなおもネットを掘り返すと、どうやらタコ帽子というのは北海道近辺の方言らしい。知らなかった！ そうだ、たぶんおばあちゃんがこれのことをタコ帽子って呼んでいたから私にしみついてしまったんだ。ほら、かぶったらタコじゃん。
ということで、今シーズンはバラクラバならぬタコ帽子を買いましたよ。本当に顔をすっぽり覆ってそのへんを歩くのはさすがに恥ずかしいので、結局浅くかぶってニット帽代わりにしてます。タコになれない私たち。
Illustrator／Takayuki Kudo
