【薬剤師が解説】「新型コロナの後遺症」症状別の軽減方法

2023.11.25

「髪が以前より薄くなったかも……」
「ぼんやりすることが増えた」
「生理の周期が乱れている」

新型コロナウイルス罹患後、そんな後遺症に悩んでいませんか?
新型コロナが発症したときの症状もつらいものですが、後遺症もとても不安なものですよね。

皆さんは、新型コロナの後遺症についてどれだけご存知でしょうか?

今回は、とくに20〜40代の女性に多くみられる後遺症の種類や具体的な対策などを解説します。




   1. 新型コロナの後遺症とは? 理解して安心するためのポイント

まず、20〜40代の女性に多くみられる後遺症といわれる症状を説明していきます。

  1-1.新型コロナの後遺症の種類
新型コロナの後遺症は多岐に渡ります。主な例は以下の通りです(※1)。

<全身症状>
倦怠感
関節痛
筋肉痛

<呼吸器症状>
せき
たん
息切れ
胸痛

<精神神経症状>
頭痛
不眠
抑うつ
記憶障害

<消化器症状>
腹痛
下痢

<その他>
味覚障害
嗅覚障害
脱毛

女性は男性より倦怠感や味覚障害の症状が出やすいようです。また、20~40代の若い世代には、全身のだるさや記憶力低下が多いともいわれています(※2)。

脱毛症状については、女性は男性の3倍多くみられるという報告もあります(※3)。

後遺症が続く原因はまだ詳しく解明されていないものの、基本的に後遺症は時間経過とともに消失すると考えられています(※1)。


  1-2.後遺症がある場合、新型コロナを他人にうつして しまう危険性は?
一般的に、新型コロナに感染したあと、他の人に感染させてしまう「感染可能期間」は発症2日前から発症後7~10日といわれています。

その期間を過ぎれば、後遺症があったとしても他の人に感染させる心配はありません(※1)。




   2. 具体的な後遺症と対策

ここからは、新型コロナの後遺症に対する具体的な対策を3つご紹介します。


  2-1.ぼんやり感や集中力低下の原因と克服方法
ぼんやり感や集中力・記憶力の低下、倦怠感などは「ブレインフォグ(脳の霧)」とも呼ばれる新型コロナの後遺症です(※2)。

ブレインフォグが起きるメカニズムはまだ不明な部分が多いものの、海外の大学の研究で「脳や肺の血栓が原因となっている可能性がある」と報告されています(※4)。

ぼんやり感や集中力低下の自覚症状があるなら、まずかかりつけの医師に診てもらう、もしくは対応医療機関に行くことが大事です。心臓、肺、血液などを検査し、新型コロナの後遺症かどうかを調べてもらいます。

治療方法は抗うつ薬や漢方薬などの内服治療、TMS治療(経頭蓋磁気刺激法)、EAT(Bスポット療法)などがあります(※5)。


  2-2.新型コロナと髪の毛の関係性:抜け毛や薄毛の対策
新型コロナの後遺症には、抜け毛や薄毛といった脱毛の症状もみられます。新型コロナとの因果関係はまだ解明されていない部分が多いものの、体調回復から3~4か月で短い毛が生え、半年ほどで元のボリュームに戻るケースが多いといわれています(※6)。

そもそも、健康な方でも、1日に50~100本の髪の毛が抜けます。また、季節の変わり目にも抜け毛が多くなるので、あまり深刻に捉えすぎずにストレスをためないことも大事です。

髪をくしでとかすと普段より多く抜ける、お風呂場の排水口にいつも以上に髪の毛がたまっているなど、明らかに脱毛量が増えたと感じられる場合は、医療機関に相談しましょう。

対策としては、タンパク質を中心とした食事に加え、規則正しい生活や十分な睡眠など、日常生活を整えていくことが挙げられます。病院によっては、栄養剤の処方や、点滴などをする場合もあります(※6)。


  2-3.経血量や生理周期の不規則さに対するアプローチと改善策
新型コロナの後遺症として、生理時の経血量や、生理周期が不規則になるという例も多数報告されています。生理前のPMS症状が悪化したという方も多く、コロナ禍の生活環境の変化によるストレスも原因のひとつとされています。

これらの症状を軽減するためには、適度な運動をしたり趣味の時間を作ったりするなど、ストレスを緩和するアプローチが有効です。2か月以上生理が来ないなど不調が続く場合は、婦人科を受診してください。

また、生理に関連した後遺症とmRNAワクチンとの因果関係については、「mRNAワクチンが不正出血や月経不順などの原因になることはない」と専門家も回答しています(※7)。



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