【薬剤師が解説】ふわふわ毛布でも幸福度が上がる?〈オキシトシンのメカニズム〉

2023.12.24

今注目されている「オキシトシン」。
幸せホルモンや愛情ホルモンとも呼ばれ、単に生理的な作用があるだけではなく、社会行動とも深く関連があります。

今回は、オキシトシンに着目し、得ることによるメリット、デメリットや、オキシトシンの分泌を増やすおすすめの方法についても解説します。




   1. 「オキシトシン」とは?

オキシトシンは、脳の下垂体という部分から分泌されるホルモンで、抗ストレス作用や抗うつ作用があるほか、親子の絆や仲間との信頼関係を深めるなどのはたらきを持っています。

オキシトシンは、睡眠時に多く分泌されるホルモンです。また、スキンシップや抱擁などでも生成が促されるといわれています。




   2. オキシトシンがもたらすメリット・デメリット

オキシトシンがもたらすメリット・デメリットを見ていきましょう。


  2-1.オキシトシンのメリット
オキシトシンのメリットは次のようなものがあります。

〈パートナーシップの向上〉
オキシトシンは男女の愛情形成に影響があります。オキシトシンのレベルが高いほど夫婦円満という研究結果があり、実際に、オキシトシンの分泌量が多かったカップルは、そうでないカップルに比べ、コミュニケーションやスキンシップが豊富でした。

たとえば、パートナーに対して冷め、浮気してしまうのはオキシトシンの分泌量が低いから。逆に、オキシトシンの分泌量が高いとパートナーを尊重し、人間関係も円滑に保てるといわれています。

〈社会的なコミュニケーションの向上〉
オキシトシンは社会性やコミュニケーションとも関係しています。オキシトシンは他人への信頼や、親近感にも関わってくるので、人間関係を深めるのにとても重要です。

たとえば、大切な人が悲しみを感じていると慰めるという共感や気遣いという感情も、オキシトシンに関係するものです。

〈ストレスの軽減〉
オキシトシンには、抗ストレス、抗不安作用があり、精神を安定させ、不安や恐怖を緩和するはたらきがあります。実際に、群れから孤立しストレスを抱えた動物にオキシトシンを投与すると、ストレス状態を示す行動が観察されなくなったという研究結果もあります。(※1)

〈親子の関係向上〉
オキシトシンは、母子の関係、母性行動の形成にも深い関わりがあります。母親が子どもを産んだあとに母乳が出るようになるのもオキシトシンのはたらきによるものです。

妊娠や出産だけでなく、何気ない会話や抱擁などのスキンシップでも、母親、子どもの両方にオキシトシンは分泌されます。


  2-2.オキシトシンのデメリット
オキシトシンのはたらきは、多くの場合においてポジティブな影響を持ちますが、負の側面もあります。
続いて、オキシトシンのデメリットについても見ていきましょう。

〈過剰な依存〉
安易に人を信じやすくなり、親しいと感じる人をすべて受け入れてしまうことで、騙されやすくなるのがオキシトシンのデメリットです。詐欺に遭いやすい人もこの傾向があり、闇雲に人を信じ、依存することによって不幸になってしまうこともあります。

〈他者排除の可能性〉
人への信頼が生まれる反面、「部外者を排除する」という行動に出てしまうのが、オキシトシンのデメリットです。たとえば、子どもを愛するあまり攻撃的になってしまうモンスターペアレントもその一例です。




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